チョコレート業界屈指の有名どころ、松尾製菓のチロルチョコ。
チョコと言えば、真っ先に思い浮かぶのがチロルチョコ・・・という方も多いのではないでしょうか。
しかし、名前や商品は知っているけれど、その生い立ちをご存じの方はなかなかいらっしゃらないのでは?
そこで今回はチロルチョコの歴史を紐解いていきたいと思います。
チョコ好きの方からチロルチョコマニアの方まで必見ですよ!
チロルチョコの歴史
チロルチョコ誕生のきっかけ
チロルチョコという名前は、ヨーロッパのイメージを採り入れることが流行していた当時、アルプスの麓にある雄大な自然が美しいオーストリアのチロル州をイメージしてつけられたそうです。
まだまだチョコレートが高級品だった時代に、福岡県でキャラメルやキャンディを製造していた松尾製菓株式会社の2代目松尾善宣(よしのり)社長が、「子供がお小遣いで買えるチョコレートを作ろう」と思い付いたのがチロルチョコ誕生のきっかけでした。
子供のお小遣いで買えることが前提なので、値段は最初から10円と決めていたそうです。
ですが、全部をチョコレートで作ると原価が10円を超えてしまう。
試行錯誤を繰り返した結果、中身にチョコレートは使わず、チョコとバランスが良いヌガー(砂糖と水飴で作ったキャンディ)を入れることにしたそうです。
そしてパッケージには高級感を演出する金色を使用し、商品名に合わせてチロリアンハットをデザインしました。
昭和37(1962)年、こうしてチロルチョコは誕生したのです!
初代チロルチョコ
上の写真が発売当時のチロルチョコです。
今とは全然違いますよね。
形は今のような一粒タイプではなく、一粒チョコを3つ連ねた3つ山の形になっています。
容量は20gほど。
これは子供が食べやすいように・・・との思いからだそうです。
当時は憧れの存在であった高級なチョコレートが自分のお小遣いで買える、しかも中にはヌガーが入っているのでボリュームもある。
当時の子供たちにとって、チロルチョコは理想的なお菓子であったのではないでしょうか。
そして現在の形へ
そんなチロルチョコですが、苦境に立たされた時もありました。
1973(昭和48)年、第一次オイルショックが日本経済を直撃した時です。
原材料費が上がり、チロルチョコも値上げをせざるを得ない状況に追い込まれました。
ですが、チロルチョコの価値は子供のお小遣い、しかもワンコインで買える手軽さだということを大事とし、値上げではなく、別なか角度から原材料費値上がりに対抗したのです。
3つの山でできていたチロルチョコ。
3つのチョコだと30円。
それを1つの山にすれば10円で販売できると考えたのです。
そうです。チロルチョコの形を変えることにしたのです。
1979(昭和54)年、1つ山の正方形のチロルチョコを新発売。
味は今も定番中の定番となっている「コーヒーヌガー」で、パッケージのデザインもガラリと変え、チョコレート色の包装紙に、カラフルな色づかいの「TIROL」ロゴとしました。
今でも見かけるこのデザインはこの時にできたものなんですね。
チロルチョコの飛躍
バブル期以降は、縮小しつつあった街の駄菓子屋さんからコンビニへと売り場のシフトチェンジを試みたのですが、ある問題が発生しました。
コンビニではPOSで商品管理を行っているため、バーコードの印刷は絶対条件です。
ところがチロルチョコはサイズが小さすぎるため、パッケージにバーコードが印刷できなかったのです。
そこでパッケージにバーコードを印刷できるよう、今までよりも一回り大きなチロルチョコを開発し、1993(平成5)年から、コンビニでは20円で販売することにしたのです。
そして2003(平成15)年に発売になった、「きなこもち」が大ヒット。
メディアでも取り上げられ、ファンの間では「箱買い」が常識となるほどのヒット商品となりました。
その後もチロルチョコは毎年10~15種類ほどの新製品をコンスタントに発売し続けており、今もなお進化し続けているのです。
チロルチョコが愛される理由
子供たちだけでなく大人までもが大好きなチロルチョコ。
安くて美味しいのはもちろんなのですが、長きに渡ってみんなに愛されている理由はそれだけではないような気がします。
チロルチョコ株式会社の松尾会長の言葉です。
抽象的だけれども、食べ物だっていくら素材が良くても調理人の愛がこもっていなければ、美味しくなかったり、嫌な気持ちになったりする。
サービスも心を込めたサービスと口だけのサービスって絶対わかるんです。商品にも社員にも、そしてお客様にも誠心誠意を尽くすことが何よりも大事です。
日本の文化の入り口マガジン
社長の言葉から、商品とお客さんと社員さんへの愛を感じますよね。
そんな会社が作ったチロルチョコだからこそ、みんなに愛されるロングセラー商品となったように私は思えるのです。
まとめ
チロルチョコの歴史、どうでしたか?
今なお躍進を続けているチロルチョコにも色々な苦労があったことが分かりました。
その苦労を乗り越えたからこそ、今のポジションにチロルチョコはいるんですね。
またカラフルなパッケージが魅力的なこの商品は、マニアの方たちのコレクターズアイテムとしても有名です。
オフィシャルブックも販売されたことがあるんだとか。
こんなにも私たちをワクワクさせてくれるお菓子も珍しいですよね。
そうやっていつまでも私たちに夢を与え続けていて欲しいものです。
最後までお読みいただきありがとうございした。