ダイエットや糖質制限中のおやつとして、今人気の「高カカオチョコレート」
普通ミルクチョコレートに比べて、カカオの割合が高いことで、健康への効果が期待できることが人気の理由でしょう。
しかし、高カカオチョコレートには、メリットの反面デメリットもあるのです。
この記事では、高カカオチョコレートを食べすぎた場合の危険性について解説します。
カカオチョコレートのデメリットを知って、安全に高カカオチョコレートを楽しみましょう♪
高カカオチョコレートの食べすぎはキケン?!
高カカオチョコレートは、メリットもありますが、デメリットもあります。
【高カカオチョコレートのデメリット】
- 脂質・カロリーが高い
- テオブロミン・カフェインが多い
- タンニンが多い
- 金属成分を含んでいる
高カカオチョコレートのデメリットについて、今のところ大きな健康被害は報告されていません。
しかし、上記のような高カカオチョコレートの問題を国民生活センターが取りまとめ、厚生労働省が公開しています。(参考:独立行政法人国民生活センター「高カカオをうたったチョコレート・結果報告」)
消費者も、デメリットについて把握しておくことが大事です。
ところで、「高カカオチョコレート」とはどのようなチョコレートのことを指すのでしょう?
それでは、
「高カカオチョコレート」がどういったどういったチョコレートかわかったところで、本題のデメリットについて解説していきます。
高カカオチョコレートのデメリットについて解説
脂質・カロリーが高い
チョコレートは脂質の多い食品であるが、高カカオチョコレートは普通のチョコレートの1.2~1.5倍の脂質を含むものもあり、食べる量に注意する必要がある。
引用:独立行政法人国民生活センター「高カカオをうたったチョコレート・結果報告」
実は普通のチョコレートに比べ、高カカオチョコレートは、脂質・カロリーが高い食品。
商品でもカカオの割合が高いほど、相対的に脂質・カロリーも高くなります。
脂質やカロリーの摂りすぎが肥満につながることは、誰もが知っていますね。
一般的に、理想とされる1日の間食での摂取カロリーは、200kcal※といわれています。(※参考:厚生労働省 e-ヘルスネット)
高カカオチョコレートはダイエット中のおやつとしてオススメされることが多い食品ですが、食べすぎには注意しましょう。
テオブロミン・カフェインが多い
気管支拡張、利尿、興奮等の生理作用があるテオブロミンやカフェインを普通のチョコレートの4倍くらい含むものもあり、健康な人が嗜好品として楽しむ分には問題ないが、これらの成分に感受性の高い人やテオフィリンなどの医薬品を使用している人は摂取量に注意が必要である。
引用:独立行政法人国民生活センター「高カカオをうたったチョコレート・結果報告」
カカオ豆の苦味の元となっている成分、「テオブロミン」。
また、カカオやコーヒーに含まれる成分として、広く知られている「カフェイン」。
このテオブロミンとカフェインは似たはたらきをもっており、老廃物の排出を促す・代謝をあげる・食欲をおさえる・リフレッシュといった効果が期待できます。
国民生活センターの調査によると、高カカオチョコレートの中にはテオブロミンやカフェインの値が、普通のチョコレートと比べて約4倍も含まれる商品もあるようです。
【調査銘柄】 (参考:独立行政法人国民生活センター「高カカオをうたったチョコレート・結果報告」)
銘柄No. | 銘柄名 | カカオ分の割合 /表示より |
1 | チョコレート効果 板カカオ99% | 99% |
2 | チョコレート効果 板カカオ80% | 86% |
3 | カレ・ド・ショコラ [カカオ70] | 70% |
4 | カカオの恵み(88%CACAO) ドミニカブレンド | 88% |
5 | カカオの恵み(77%CACAO) メキシコブレンド | 77% |
6 | プーラン 1848 ノアユーテム86% (原産国名:フランス) | 86% |
7 | プーラン 1848 ノア76% (原産国:フランス) | 76% |
8 | コートドール・センセーション インテンス 86%カカオ (原産国:ベルギー) | 86% |
9 | コートドール・センセーション インテンス 70%カカオ (原産国:ベルギー) | 70% |
10 | ザロッティ サント・ドミンゴ85% (原産国:ドイツ) | 85% |
11 | リンツ・チョコレート エクセレンス・95%カカオ (原産国:フランス) | 95% |
12 | リンツ・チョコレート エクセレンス・85%カカオ (原産国:フランス) | 85% |
13 | 明治ミルクチョコレート | 表示なし(36%) |
14 | 森永ミルクチョコレート | 表示なし(41%) |
15 | ロッテガーナミルク | 表示なし(33%) |
No.6~12:輸入品高カカオチョコレート商品
No.13~15:普通のチョコレート商品(参考品)・カカオ割合は聞き取りに調査による
カフェインは、チョコレート以外にもコーヒーやお茶、エナジードリンクに含まれていることも多い成分なので、摂りすぎにならいよう注意が必要する必要がありますね。
また、テオブロミンは気管支拡張薬に用いられることから、気管支関係の薬を服用している場合には、かかりつけの医師に相談した方が安心かもしれません。
特にテオブロミン・カフェインに関しては、商品の成分表示にも載っていないため、正確な量を把握することは困難です。
さらに、カフェインは過剰摂取すると中毒症状が起こります。
【カフェインの中毒症状】
軽症~中等症 | 初期症状として、食欲不振、ふるえ、興奮、悪心、嘔吐、脈が速くなるなど |
重症 | 低カリウム血症、高血症、代謝性アシドーシス、横紋筋融解症、低血圧、意識障害、けいれん発作、脈が速くなる、不整脈など |
カフェインやテオブロミンは、耐性の弱い方や子供が摂取すると興奮状態になったり眠れなくなったりする可能性が高まります。
人によって、摂取するタイミングや量には十分気をつけましょう。
タンニンが多い
「貧血にはチョコレートが効果的」とうたっている情報もありますが、チョコレートにはタンニンやカフェインなど鉄の吸収を妨げる成分も入っています。
高カカオチョコレートの場合には、その値が多くなってしまうので、鉄分不足が気になっている方は食べる量に注意しましょう。
金属成分を含んでいる
カドミウム
すぐに健康被害を及ぼすような量ではないが、銘柄によりカドミウム含量の差が大きかった。適切な品質管理等が引き続き望まれる。
ニッケル
高カカオチョコレートは普通のものに比べ、最大約4倍のニッケルを含む。
引用:独立行政法人国民生活センター「高カカオをうたったチョコレート・結果報告」
国民生活センターの調査結果では、 高カカオチョコレートのなかには、カドミウムとニッケルの数値が高い商品もありました。
カドミウムに関して、日本人は米から摂取していることの多い成分です。
少量であれば健康には問題ありませんが、著しく汚染された土壌で栽培された場合など、高濃度のカドミウムを長期間摂取すると、病の発症につながるおそれもあります。
日本でかつておきた有名な中毒症状の病が、イタイイタイ病です。
高カカオチョコレートにおいては、すぐに健康被害が出るような数値ではありませんが、銘柄によって大きな差がありました。
【チョコレート中のカドミウム量】
チョコレートの種類 | 100g中のカドミウム量 |
高カカオチョコレート (12銘柄中) | 最低値:5µg 最高値:45µg |
普通のチョコレート (3銘柄中) | 最低値:4µg 最高値:12µg |
消費者が調べることは困難であり、品質管理は事業者に任されています。
▶カドミウムについてもっと知りたい方はこちらでご確認ください>>>厚生労働省「食品に含まれるカドミウム」に関するQ&A
また、ニッケルは金属アレルギーを発症しやすい成分です。
普通のチョコレートにもニッケルは含まれていますが、高カカオチョコレートの方が数値が大きくなります。
【チョコレート中のニッケル量】
チョコレートの種類 | 100g中のニッケル量 |
高カカオチョコレート (12銘柄中) | 300~590µg |
普通のチョコレート (3銘柄中) | 140~180µg |
ちなみに、WHOが定めるニッケルの1日当たりの摂取量は11µg/kg・体重。
さらに日本人の場合、一般的に1日当たり150~250µgのニッケルを摂取しているそうです。
通常の生活でも一定量のニッケルを摂取していますが、高カカオチョコレートを食べることで、よりニッケルを摂取してしまうことになります。
また、ニッケルアレルギーは経口摂取で発症する可能性があるため、アレルギー体質の方や金属に弱い方は注意した方が良いでしょう。
高カカオチョコレートのメリット
- カカオポリフェノールが多い
- カカオプロテインが多い
- 食物繊維が多い
- 低糖質
チョコレートでもっとも注目される成分といっても過言ではないのが、カカオポリフェノール。
カカオポリフェノールには、エイジングケア、血液をサラサラにする、脳の認知機能を保つといった効果が期待できます。
また、カカオプロテインと食物繊維は、お腹の調子を整えるはたらきがあるので、日頃のお通じに困っている方にはオススメといえるでしょう。
さらに、低糖質食品なので、糖質制限されている方・血糖値が気になっている方・ダイエットされている方などにもオススメ。
このように、高カカオチョコレートはさまざまな成分や科学的実験から、昨今のブームになるほどのメリットを併せ持っているのも事実です。
何にでも共通することですが、「適量を摂取する」ことが大切だといえますね。
それでは、高カカオチョコレートのメリットをのばすための、食べるタイミングや量はあるのでしょうか。
高カカオチョコレートを食べるタイミングと量は?
高カカオチョコレートを食べるのにオススメのタイミング
高カカオチョコレートのカカオポリフェノールは、長時間持続することができない成分で、摂取後2時間をピークに減少していきます。
食べる際には、一度に摂取するのではなく、少量をこまめに摂ることがポイントです。
高カカオチョコレートは、食前に摂ることで食欲をおさえ、血糖値の急上昇をおさえる効果が期待できます。
また、通常食事の2時間後に血糖値が下がってきます。
この小腹が空いてくるタイミングで、菓子パンなど糖質の多いものを食べれば血糖値の急上昇につながってしまうため、間食に食べることもオススメです。
【チョコレートを食べるオススメのタイミング】
少量をこまめに、食前・食間がオススメ
高カカオチョコレートを食べるのにオススメの量
先に解説してきた内容からも、高カカオチョコレートが多くもっている成分についての耐性は人それぞれ違いがあるので、どのくらいであれば問題ないと言い切ることはできません。
また、カカオの割合によってカロリーが違うこと、薬とは違い嗜好品であることからも、1日の規定量はありません。
一般的には、 理想とされる1日の間食での摂取カロリーは200kcalといわれています。
このことから、一般的に1日の摂取量は3~5片(25g)程度までは食べてもOK。(※参考:明治チョコレート効果公式サイト 教えて!チョコ先生!)
ただし、高カカオチョコレートを健康維持の観点から食べるのであれば、5~10g程度※でも有効性が確認されています。(参考:日本チョコレート・ココア協会)
他の食品と食べ合わせる場合も考えれば、通常いわれる3~5片ではカロリーオーバーする可能性もあるので、少なめに見積もっていても良いかもしれません。
また、毎日継続することを考えても1~2片(5~10g)程度であれば、無理なく食べられる量ではないでしょうか。
【高カカオチョコレートを食べる量】
1日の間食における理想摂取カロリー:200kcal
200kcal以内での高カカオチョコレートの摂取量:3~5片程度
ただし、1~2片(5~10g)程度でも健康維持への効果は期待できる◎
まとめ
高カカオチョコレートの食べすぎによるデメリットをご紹介しました。
【高カカオチョコレートのデメリット】
- 脂質・カロリーが高い
- テオブロミン・カフェインが多い
- タンニンが多い
- 金属成分を含んでいる
「高カカオチョコレート」は普通のチョコレートよりもカカオの割合が多い分、効果も期待できる反面、デメリットもある印象ですね。
効果をうたう商品やメディアは多いですが、デメリットについては、知らなかった方も多いのではないでしょうか。
高カカオチョコレートは“嗜好品”として、少量をこまめに楽しみましょう。