ストレスの軽減をうたっている「GABAチョコレート」
「ストレス低減」や「睡眠の質を上げる」とのうたい文句で販売されていますが、「GABAの経口摂取は意味ない」という口コミも・・・
えっ?!GABAチョコは食べても意味ないの?
この記事では、GABAチョコは食べても意味がないのか科学的根拠をもとに徹底解説します。
GABAチョコレートは食べても意味ない?
結論:「意味ない」ということはありません。
GABAチョコは「機能性表示食品」としても販売されているので、その点からも効果については科学的に証明されているはずだからです。
全く効果がないのであれば、「機能表示食品」として表示して販売はできません・・・
そうすると、「じゃあ、GABAチョコは食べる意味あるの?」というところが気になると思います。
その解説には、「そもそもGABAとは?」「『機能性表示食品』とは?」というところから順を追って解説していきます。
そもそも「GABA」とは?
γ-アミノ酢酸(gamma-Aminobutyric acid)の英語表記の頭文字をとってGABAといわれています。
アミノ酸の一種で、主に神精神を安定させる作用がある抑制性の神経伝達物質です。
期待される効果としては、血圧抑制・ストレス低減・睡眠の質向上があげられます。
「機能性表示食品」とは?
機能性表示食品とは
事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です。販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者長官へ届けられたものです。ただし、特定保健用食品とは異なり、消費者長官の個別の許可を受けたものではありません。
引用:消費者庁「機能性表示食品」って何?
消費者庁長官の個別許可はないものの、「機能性表示食品」として販売するには消費者庁へ根拠となる情報を提示しなければいけないことになっています。
つまり、GABA チョコに関してもストレス低減や睡眠の質向上に対する科学的根拠が実証されているので、「機能性表示食品」として販売できているのです。
それにも関わらず、「意味ない」という口コミがあるのは一体どうしてなのでしょう?
「GABAチョコは意味ない」という口コミ
GABAチョコとして経口摂取しても意味ないというのは、「GABAが血液脳関門を通過できない≒GABAを食べても意味がない」という説に基づいているようです。
「GABAチョコは意味ない」という根拠
口コミで紹介したように「GABAチョコは食べても意味ない」と言われる理由は、「GABAが血液脳関門※を通過できないから」とされています。
経口で摂取した物質が脳へ作用する場合には、血中を通って脳へ行くという経路が考えられます。
しかし、血液脳関門を通って血中から脳へ行けるのは特定の物質に限られており、GABAはこの関門を通ることができないとされているのです。
とはいえ、たしかにGABAは脳に直接作用しないのですが、血管を通じて神経伝達を抑制し血管収縮を緩める「血圧抑制効果」の研究結果は数多く報告されています。
GABAの血圧抑制効果については、トクホの認定を受けるほど立証されている効果です。
そのため、「GABAを経口摂取する→血圧を安定させる→精神安定につながる」という流れを加味すれば、ストレス低減への効果もあるといえるでしょう。
「血圧抑制効果≒GABAの精神安定効果≒ストレス低減」という考え以外にも、経口摂取でGABAが有効とされる研究結果があるので、次でご紹介します。
●参考:腸内フローララボ 第22回「GABAを摂取するとリラックス効果は期待できるの?」
「GABAチョコに効果がある」という科学的根拠【3つ】
①学生によるGABA経口摂取の実験結果より
京都大学生の実験によると、GABA30mg含有カプセルとプラセボカプセルを経口摂取させた場合、GABA30mgカプセルの摂取に対して30分後、60分後に副交感神経活動の上昇がみられる結果が得られました。
この結果からは、GABAが経口摂取からでも自律神経系に作用し、リラクセーション効果をもたらす可能性がわかります。
●参考:日本栄養・食料学会誌第61巻第3号129-133(2008)「GABA経口摂取による自律神経活動の活性化」
②「脳腸相関」説の科学的立証より
従来は、「経口摂取したGABAは腸から血中へ吸収されるが、血液脳関門を通過できないことからGABAチョコを食べても意味がない」という考えが定説でした。
しかし、近年の研究ではGABAに限らず、脳と腸が相関関係にあるという研究結果が出てきています。
この「脳腸相関」についてはGABAについても同様で、腸内にもGABA受容体があると考えられているのです。
あるマウスの実験においては、腸と脳をつなぐ神経を切断したところ、脳内のGABA受容体の活性化がみられなかったという結果も出ていることからも、GABAは脳へいかなくても腸から作用するといえます。
また、腸内細菌の中にはGABAを産生する細菌がいることもわかっており、この菌が少ない子供の異常行動や自閉症状の傾向がみられるという研究結果も出ています。
この結果からも、腸内で産生・吸収されたGABAが脳へ影響を与えている可能性は捨てきれないでしょう。
●参考1:ナチュラルクリニック代々木「GABAってなぁに?」
●参考2:太陽化学株式会社 食と健康Lab学術コラム「脳腸相関が科学的に説明できるようになってきています」
●参考3:Natureダイジェスト「増えつつある脳腸相関の証拠」
③GABAストレス研究センターによる検証結果より
GABAストレス研究センターによる唾液中のストレス値を測定できる成分の分泌量を調べた調査では、GABAチョコレートを食べた後で数値に変化がみられたという結果が出ています。
【おまけ】信じれば「プラセボ効果」も期待できる
人間の体は複雑でいて、単純なところもあります。
それは、「病は気から」といわれるように、強い思い込みによって本当に効果が出ることがあるから。
GABAチョコを食べる時には「どうせ意味ない」と思って食べるより、「食べたら効果がある」と信じて食べることが、より効果を得るためのポイントといえるかもしれません。
まとめ
「GABAチョコは意味ない」といわれるのには、「GABAが血液脳関門を通過できないため、脳に直接作用できないから」という理由でした。
しかし、そもそも科学的証拠があるから「機能性表示食品」として販売されているのです。
実際、数々の科学的研究結果を調べると「脳に到達しないから意味ない」とは一概に言えないのではないかと思います。
何より「GABAチョコを食べればストレス低減する!(安眠できる!)」と信じて食べることが何より効果的なのではないかと思います。