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クロワッサンとデニッシュの違いは?パティシエ兼パン職人の筆者が分かりやすく解説します!

焼き立てのクロワッサンって本当に美味しいですよね!

ちょっと私の好みを書きますと、標準的なものより少し甘め、バターのみではなく発酵バターを使った香り豊かなものがいいです。

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噛み締めるとバターが染み出すようなのが背徳感があって最高ですね。

そういうコテコテのカロリー高いだろうなーというものが美味しいのですが、じゃあクロワッサンじゃなくてデニッシュを食べればいいのでは?という感じもします。

デニッシュというと菓子パンのような甘いものをイメージしますが、甘いクロワッサンがデニッシュなんでしょうか?

フルーツやジャム、クリームが乗っかってるクロワッサンはデニッシュなんでしょうか?

画像:アメブロ

色々な疑問が出てきたところで、パティシエであり、パン職人の筆者が分かりやすく解説します。

【クロワッサン、デニッシュの違い?】パンはパンですが?

小麦粉に水と酵母(イースト)を加えて練り発酵させて焼き上げたものがパンです。

クロワッサンやデニッシュはそのパンの生地にバターを折り込んでパイ生地のように層を作っています。

画像:ゆめろんのパン作りレシピ

ここまではクロワッサン、デニッシュに違いは無いですね。

名乗ってしまえば、それがクロワッサン、デニッシュ

はっきり言ってしまえば、法律による規定基準はありませんので、パン屋さんがこれはクロワッサンですと言えばクロワッサンですし、デニッシュと言えばデニッシュになってしまってOKなんですね。

そんないい加減なという感じで批判されそうなので、一般的にはこうである、という例を紹介します。

クロワッサンはテーブルロール

一般的にクロワッサンは、バターロール、イングリッシュマフィン、コッペパン、ブレッチェンのような、具材の入らない小型の食事パンです。

画像:ベルメゾン

こういうパンはテーブルロールと総称しております。

パンの素朴な味わいが楽しめて、どんなおかずにも合うようなものが理想的であります。

デニッシュはバラエティーパン

デニッシュはテーブルロールとは違い、様々な具材の入ったパンです。

あんことかジャム、ツナやポテトサラダなど、何を入れてもOKという感じです。

画像:allabout

結局、どんな具材にも合うようなクロワッサンに具材を入れたら、デニッシュという感じになります。

あくまで、一般的に。

【クロワッサン、デニッシュの違い】 ちょっと踏み込んでみた

さすがにこれでは情報として物足りないので捕捉します。

起源が違う

よく知られていますがクロワッサンはオーストリア発祥であり、トルコ軍(三日月)を撃退した際に記念として作られたものが拡がったという一説があります。(なんとも殺伐としたヨーロッパらしい考えですが)

イメージ画像:私の里美術館

デニッシュはその名のとおり、デンマーク発祥と言っていいですが、折り込みパイ生地の製法はフランスで既にあり、当時からヨーロッパ内ではかなりクロスオーバーしたパン作りの技術があったと推察されます。

昔のことで、はっきり分かりませんが、デンマークのパン職人が作ったパンが広く知られるきっかけになったという事は間違いないでしょう。

作り方が違う

クロワッサンはパンのようなふわふわした食感とパイのようなサクサクした食感が特徴と言っていいでしょう。

クロワッサン断面:marimo cafe

パンとパイの中間的なものであり、そのどちらの特徴も活かした美味しさを求めたい所です。

デニッシュはパンですが、パイのサクサクした特徴に寄せた生地のリッチさを味わえる物と考えるのがパン屋さんの中では一般的です。

  クロワッサン   デニッシュ   
 味   甘くない 甘い
 素材副材料(卵、ミルクなど)は控えめ副材料(卵、ミルクなど)は多め
 生地バター少ないバター多い
  分かりやすいクロワッサンとデニッシュの違い
クロワッサンを作る基本的な考え方
  • 折り込むバターは生地の50%程度に留めパンの特徴を出す為には発酵を長めにとる
  • 小麦の美味しさを引き出す為に副材料(卵、ミルクなど)は控えめにする
デニッシュを作る基本的な考え方
  1. 折り込むバターは生地の50%以上にし、パイの特徴を出す為に発酵は短めにする
  2. 生地のリッチさを求める為には副材料を多くする

もし、パン屋さんでクロワッサンとデニッシュの違いを分かりやすく表現したいなら、上に書いたようなことを意識するべきです。

しかし、以上のように考える必要は必ずしも無いので参考程度に読んで貰えればいいと思います。

デニッシュの変わり種を紹介します

クロワッサンたい焼き:tvcooks.blog

製パン技術者にとっては面白い分野なのですが、一般的には特に人気があるわけでは無いので、トリビア的に紹介しますね。

プルンダーってなんでしょう?

ドイツでは生地に入るバター(マーガリン)の量で名前が変わっていきます。

バターが少ない順から、プルンダー、デニッシュ、コペンハーゲナーと呼ばれ、ドイツ菓子のお店で見かけることがあります。

ドイツの菓子パン:noma.today

日本では普通にデニッシュで、ドイツ風の呼び名だと思っていいでしょう。

ブリオッシュ·フュイテは奥深い

水を使わない卵とバターで作ったパンをブリオッシュなどと呼びますが、このブリオッシュにバターを折り込んだ物をブリオッシュ·フュイテといいます。

これはブリオッシュと言っても実に様々なタイプがあり、私からしてみれば、その職人やレビュー者ががどこまでこの分野に精通しているか見分けのつくアイテムです。

フロインドリーブの美しいクロワッサン:食べログ

↑普通の生地では作れません。

シナボンもデニッシュだった!

シナボン、美味しいですねー、メチャクチャ甘くて油っぽい感じが、カロリーは正義って感じで最高です!

これは実はデニッシュだったとご存知でしょうか?

菓子パンの生地にバターを折り込んだデニッシュブレッドのようなパン生地でこちらもデニッシュの変わり種と言える物だと思います。

まとめ

さまざまな国や場所で、斬新なクロワッサンやデニッシュを見たり聞いたり、実際に食べてみることは、本当に楽しくワクワクすることです。

しかし、同時に先人の技術が脈々と受け継がれ取捨選択され残ったものは、基本として揺るぎ無い美味しさを私達にもたらしてくれるものだと思います。

クロワッサンとデニッシュの違いを考えた時、明確な規定が無いので個人の感覚に任せると言った感じでいいと思います。

普通のパンに飽きたらちょっとこの分野(ヴィエノワスリー、ペストリー)を覗いてみるのも楽しいと思います。

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藤原 敏夫

1974年生まれ。ポール・ボキューズ、ノブTOKYOで製菓製パン、ペストリーを学び、日本人唯一MOF取得者の美ノ谷靖夫氏に師事。独立してベッカーフジワラを15年経営して廃業。現在はブーランジェリー職人として勤務しながら、経験を活かした記事を執筆中。

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