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現役パティシエが、本気で尊敬できる【パティシエ】珠玉の名言、集めてみました。

有名なパティシエといったら、まず、モンサンクレール辻口シェフを思い浮かべます。

画像:辻口博啓オフィシャルweb

その次は川島なお美さんと結婚した鎧塚シェフでしょうか?

画像:エキサイトニュース

メディアの露出が多い方を思い浮かべますでしょう。

しかし、華やかなイメージのあるパティシエと言っても、やっぱり職人の世界であり、修行といった厳しさがあるのも事実です。

その厳しい職人の世界から世に出て、実績を残したパティシエとはどういう人物なのでしょう?

今回は素晴らしい仕事をしている【パティシエ】の名言を取り上げることで、お菓子業界の裏側と職人の考え方について解説してみたいと思います。

【パティシエ】名言集 有名シェフ編

まずは有名どころで

モンサンクレール、辻口博啓シェフ

何かに立ち向かう気持ち、誰かを乗り越えようとするチカラは、人を大きく成長させてくれます

引用元:まるちょん引用

私はレストランパティシエ時代、辻口シェフに何度もアシェットを提供していますが、彼の自分の良いと思ったことを貪欲に取り入れる行動力には尊敬という言葉しかあり得ないですね。

それはある意味ミーハーな感覚であり、職人気質な視点から見れば、ちょっと軽いなという振る舞いに見えるものだったかもしれません。 

画像:辻口博啓tiktok

しかし、名実ともにトップのパティシエになる為に、その職人的な軽蔑と戦うことを糧にして勝ち抜いた人物なんですね。

それがよく表れた名言だと思います。

一見、普通の事を言ってるような言葉ですが、なんの後ろ楯のない人間がここまでなるまでに、どれ程の苦労、辛酸をなめてきたのかが分かる、若いパティシエに向けた非常に厳しさと愛のある言葉ですね。

バックボーンを知れば知るほど(パティシエはもとより人として)尊敬できる人物です。

トシ ヨロイヅカ 鎧塚俊彦シェフ

僕の中には確固たる“僕の味”というのがあるんです。それを信じて作っていれば、いつか認めてもらえるだろうって思っていました

引用元:こだわり職人

鎧塚シェフは芸能人と結婚したことで一躍有名になった感がありますが、私にはその派手な経歴とは似つかわしくない、地味で堅実なデザートを作っている印象でした。

鎧塚俊彦シェフ:MOA美術館

奇をてらわない、流行りの美しさ大胆さより、絶対に美味しい、美味しくない訳がないという、パティシエの仕事で食文化の継承という超重要な役割を担っておられます。

その姿勢は自身でファーム(農園)を経営されている事にもよく現れております。

画像:にほんもの

ビジネス的には契約ファームから農作物を仕入れたほうが効率が良いはずですが、生産者に対する尊敬と何よりも美味しい物を作りたい(美味しい物とは何であるか?)という想いが伝わってきます。

自分の正しいと思った事に全くブレ無い芯の強さがよく表れている名言だと思います。

ブールミッシュ 吉田菊次郎先生

吉田先生の著作はかなり多く、名言を選ぶのも難航しましたが、レアな所を出していきたいと思います。

たゆたうに見えながら、時のうつろいと共に世界も刻々と変化し、味覚もそれに敏感に対応してゆきます、伝統の国フランスとて例外ではありません。食文化の一翼を生業とする我々もまたそれにならい、伝統をつちかいながらも、それを踏まえた新しい味覚の追求に傾注しなければならないことを痛感いたします。

引用元:パティスリー吉田菊次郎著

吉田先生は学者さながらの博識であり、日本における洋菓子界の発展に最も貢献されている重鎮の1人であります。

吉田菊次郎先生:ブールミッシュ

上の言葉は今から40年以上も前に書かれたものであり、時代錯誤のない、パティシエとはどういう仕事をやらなければならないかを自身を含めた"戒め"として残されていらっしゃいます。

私は先生の"伝統をつちかいながら"という言葉が現代のパティスリーにおいて希薄になっていないか?と、自省して後ろめたい気持ちがあり、非常に微力ながら自分の出来ることは何かを探るモチベーションとなっております。

無気力になりがちな心を奮い立たせる、非常に勇気づけられる有難い名言です。

【パティシエ】名言集 天才編

ピエール・エルメ

世界最高のパティシエであり、日本での知名度も、最近はさまざまなコラボ企画で段違いだと思います。(権利ビジネスを拡げ過ぎではないかと思いますが、もはや事業としてのピエール・エルメであり、下手なコラボより良質なものを提供していると思います)

画像:ピエール・エルメ公式

事業でも大成功しているピエール・エルメですが、彼が考えてる事がよく分かる言葉があるので紹介します。

バスク地方イツァツウー村特産のダークチェリージャムをなぜこの菓子の中に入れないのか、と問う人たちがいる。ジャムは菓子につけて食べるほうが好きだから、というのが私の答えである。

これにピンっときたら、フランス菓子の理解が深い人だと思いますが、よく分からないと思うで解説します。

これはガトーバスクという菓子について、下らないアレンジをすることに苦言を言っているんですね。

ガトーバスク:coota

多くの場合、ジャムは保存がきく物として認識しておりますが、良質な素材で作ったジャムは生鮮品として扱うべきであり、ましてや完成されたガトーバスクの中に入れることは味や最も良い製法のバランスを壊すことで、全くナンセンスなのです。

ピエール・エルメは奇才、ピカソなどと称されていますが、この言葉だけでどれ程伝統を重んじているか理解できますね。

ピエール・エルメほどの天才がこういう考えであるのに対して、凡人が浅はかな知恵でいいかげんな物を作ることは、もっと慎重にならざる得ません。

パティシエなら肝に銘じるべき名言だと思います。

イデミ スギノ 杉野英実シェフ

私が日本のパティシエで、未だ最も勢いのある天才だと思っているのが杉野英実シェフです。

杉野英美シェフ:CREA

菓子職人の師匠らしき人はいなかった

引用元:フードラボ

これは、名言とは言えないかもですが、この言葉の意味は重いので取り上げました。

杉野シェフはいわゆるパティシエとしてエリートコースを歩んだ方ではありません。

自身もおっしゃってますが、料理人と多く関わることで閉鎖的なパティシエの思考の枠に囚われない自由な発想で美味しさを追求し続ける、まさに探求者なのです。

スギノイデミのお菓子を見ると、味の想像ができないような素材の組み合わせだったり、斬新なケーキが沢山あります。

画像:食べログ

しかし、だからこそ全ての菓子に自分の手が加わっている、(弟子に任せたりしない、事業拡大しない)その姿勢に感動するのです。

杉野シェフほどの有名な方なら事業拡大することも容易だと思われますが、自身の道に反する事なのでしょう。

年齢的にいって重鎮である事は間違いないですが、未だに衰えない高いレベルの新しい菓子を追求し続ける唯一無二の存在なのです。

常に前のめりなその姿勢は職人としての理想を体現されていると思います。

【パティシエ】名言は数しれず

オーボンビュータン河田勝彦先生 

自身がやってきたなかで、後世に伝えたいと思いながらやってきたことは一度もない

引用元:料理王国

イルプルシェルラセーヌ弓田亨先生 

この日本で、ただ一つ真実のおいしさを提示するパティスリー

引用元:イル·プル·シュルー·ラセーヌ

パティシエイナムラショウゾウ稲村省三先生 

自分の人生をつなげていくために、すべて自分から一歩踏み出す

引用元:ナンバンプレス

パティシエ、ドゥ、シェフ藤生義治先生

まだまだ作りたりない!

引用元:こだわり職人

リリエンベルグ横溝春夫先生 

得ようとする気持ちがあれば、どんな人からも学べるはずです

引用元:川崎市

パティシエ、シマ島田進先生 

優れた素材、面白い技術を見抜くには、まず偏見を捨てて柔軟な気持ちで対し、表面からは分からない本質をつかまなければならない

引用元:エクリプスプリュス

私が紹介するまでもなく日本の洋菓子界に貢献し続ける偉大な先生方です。

もちろん、他にも沢山いらっしゃいますが、とても紹介しきれません。

名言と思える全てを紹介したら膨大な量になってしまうので割愛させて頂きますが、私にとって絶対に外すことが出来ないシェフが存在しますので紹介したいと思います。

美ノ谷靖夫シェフ

私はフランス菓子というものを美ノ谷先生の菓子から学びました。

美ノ谷靖夫先生:ラ·ベルファム

美ノ谷先生は日本の洋菓子の黎明期に至高の存在だったルコントというパティスリーの出身です。

そして若くして渡仏してM.O.F(フランス国家最優秀職人章)を認定されたキュイジニエ(料理人)としては唯一の日本人です。(本人は菓子の方をやりたかったのでケーキ屋をやってました)

そのわりには知名度が無いという理由は本人の性格による所としか言いようがありませんが、先生の名言を紹介します。

僕にとってはお菓子も料理も同じ。最終的な評価はお客さんが判断すること。もちろん、何が美味しいか、それを知っているのがプロだけどね

"人気のケーキ"世界文化社より抜粋

先生は美味しければ何でもいいなどとおっしゃっいますが、何が美味しいのか分かりやすく教える気は全然ないんですね。。(実体験として、、まあ、昔の修行はそんなもんです)

貴重な記事、ありがとうございます:オモムケドトリヨセズ

最高の経歴を持ちながらメディアに露出するのを拒否し続けたのかは分かりませんが、昔気質の職人ではなく、巧く立ち回っていればもっと尊敬を集めた事だと思います。(だが、それがいい、昔風に言えば美学でしょうか?) 

"お菓子も料理も同じ" 私だとお菓子もパンも同じという感覚です。

美味しい物を作るのに区別はないという事でしょうか?

色んな想いが交錯しますが、

私は先生にプロとして認められる為に長年やってきたようなものですから、この言葉が名言だと思うんですよね。

まとめ

有名パティシエの名言を集めてみましたが、名言とはいったい何なのでしょう?

自己啓発のような、まことしやかな言葉を並べ立てれば、それはそれで何となく良い言葉だなと感じて満足なのかもしれません。

しかし、その名言の裏側にある人物像を想像してみると言葉の重みが全然違ってくるんですね。

少なくとも私はパティシエやパン職人として長年やってきたほうだと思いますが、同じ業界の人間として言葉だけを見るのではなく、人物と合わせて深いなと思える【パティシエ】の名言を紹介させていただきました。

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藤原 敏夫

1974年生まれ。ポール・ボキューズ、ノブTOKYOで製菓製パン、ペストリーを学び、日本人唯一MOF取得者の美ノ谷靖夫氏に師事。独立してベッカーフジワラを15年経営して廃業。現在はブーランジェリー職人として勤務しながら、経験を活かした記事を執筆中。

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