高級食パンブームも世の中で一巡した感がありますが、まだまだ色々なお店の食パンを食べ比べた人は少ないと思います。
ブログやパンに関する記事ではよく比較されていますが、
で、結局、どこの食パンが美味しい?美味しくない?のか
これは人の味覚と好みは十人十色であって、決める事に意味は無いように思います。
人の好みによるといった所でしょうか?
と言うと身も蓋もないのですが、
今回はJR神田駅西口を出た所にある、【高匠】というお店で高級食パンを買ってきたのでレポートしたいと思います。
しっとりしていて、甘味のある、耳まで柔らかい、よくある高級食パンの味で美味しかったです。
今時、美味しくない食パンはそうそうないでしょう。
よくある味と書きましたが高級食パンブームで登場した数々の食パン専門店には共通点があり、その共通点はパンの味にもかなり影響しているのです。
味が共通しているからこそ、甲乙付けがたいのですが、パン職人でもある筆者がそのあたりを解説したいと思います。
【高匠】食パン、美味しくない、はブログネタ?
私が【高匠】で買ってきた食パンは美味しかったですけどね。
美味しくないという口コミを探してみましたが、特にこれといった口コミは見当たりませんでした。
旦那が仕事帰りに食パン見つけたよ!って高匠の食パン買ってきてくれた…
— はーみん@NiziU垢 (@Miiiii_NiziU) April 21, 2021
我慢できなくてこんな時間に食パン🍞❤️食パンのバターの香りさいっこうぅぅ深夜の食パン最高ぅぅ pic.twitter.com/c1wG06vbvR
通販でパンを買ったのは初めてで、半信半疑で注文してみました。
本当に美味しいパンです。
多くの日本人の好みにあった秀逸な食パンであることは間違いないですね。
正直に書きますと"美味しい"と書くと沢山ある食パンのレビュー記事で埋もれてしまうので、あえて"美味しくない"として目立つ為のネタであります。
しかし、私もプロとして他の記事とは違う美味しくない理由を述べてみたいと思います。
【高匠】食パンとしては甘い
甘い=美味しい。
人が美味しいと感じる必須条件ですが、【高匠】の食パンは甘いですね。
こんな甘い食パンを毎日飽きずに食べることが出来るのでしょうか?
甘いので合わせられる具材も限定的になり、サンドイッチにした場合もパンの甘さが邪魔になります。
ご飯のような毎日おかずと一緒に食べて飽きないような物ではなく、私にとっては菓子パンのような位置づけになります。
ご飯よりパン食をメインにしているパン好きの方なら分かる話だと思います。
【高匠】食パンとしては重い
この理由は後で触れますが、【高匠】や高級食パンブームで話題になっている食パンは、ズッシリとして重いです。
近所の商店街内にできた食パン専門店
— マロン王子🌸銘々花🌸 (@meimeika_maron) April 26, 2021
1斤は午前中でだいたい完売してしまうらしい
持ち上げた時のずっしり感がいい感じ☺️ pic.twitter.com/GPZTZay3hH
あたかもそれが良い事のようになっていますが、噛むと団子状になり口溶けが悪く、腹にたまるような重さを感じます。
加えて、水分の多い事による焼成時のパン内部の香りの揮発性の低さから生っぽい香りがクラム(パンの中)に多く残ります。(良い臭いバター?ととる人もいるけど)
高級食パン(だいたい1本で800円以上)という事で、毎日食べる普段使いのものではなく、たまに食べる甘くて重いスイーツのような物ですね。
高級食パンがブームになっているのも普段あまりパンを食べない人を取り込んだからであって、こうなるのは必然的ではありますが、本当のパン好きの方は静観しているのではないでしょうか?
高級食パンの共通点
ちょっとボロクソに書いてしまいましたが(ネタです)、何も【高匠】に限った話ではありません。
しっとりモチモチ甘い食パンが良く売れて商売になるのだから理にかなっているのです。(嫉妬じゃないですw)
冒頭で高級食パンには共通点があるといいましたが解説します。
多加水でしっとり生食パンが主流
有名な所では、高匠、嵜本は湯種製法という、しっとりモチモチした食感を出すパンの作り方を公言しています。
詳しい理屈は避けますが、湯種製法は普通に小麦粉に水を加えるパンより沢山水分を含ませる事(多加水)ができ、しっとりした生食パン?なる食パンを作るのに適した作り方です。
多くの高級食パン専門店が湯種製法、もしくは沢山水分を含ませる他の製法を取り入れており、ズッシリと重い食パンを作っております。
この湯種製法と同じような効果をもたらす物にグルテンを持たない澱粉を加える事や、中種、液種といった製法もありますが、多加水を目的としていることは共通点であります。
原材料を見ても、各食パン店の詳しい作り方の違いを正確に知ることはできませんが、結果として横並びに同じようなものを作っているという事になります。
食パン専門店はパン専門店じゃない?
高級食パンブームの火付け役となったベーカリープロデューサー?岸本氏も公言してますが、高級食パン店はパン屋さんになってはいけないとおっしゃってます。
それは既存のパン屋さんの常識をくつがえすブレイクスルーが真意だと思われますが、現実を見ていきましょう。
商機あり!異業種からの参入があとを立たない、、
岸本氏もそうですが、のがみ、高匠、崎本、にしかわ、俺の、といった高級食パンブームの牽引者は異業種からの参入組という共通点があります。
その新規参入はいまだ続いているようですが、色々なパンを作らず食パンのみで商売する専門性の狭さ(クオリティを均質にしやすい、投資も軽い)が異業種からの参入しやすさとなっています。(ブランディングも絞り易い)
いままで多様なパン作りに真摯に向き合い日本におけるパン文化の創造、技術の継承といったパンの専門店発祥とは言えないでしょう。(最初からパン屋さんじゃ無い方達のアイデア)
これはやはりブームはブームであり、いずれ廃れる事を想定としたビジネスなのです。(悪いとは言ってません、誰にでも出来ることではない)
廃れたら新しいビジネスを考えるのです。
白たい焼き、10円饅頭など、フランチャイズビジネスとして過去に幾らでも似た事例がありますが、食パンブームもその1つとして冷静にそのいく末を見ていきましょう。
そう思う根拠として、美味しいがどこも似たり寄ったりで流行りに特化した高級食パンそのものに表れていると思います。(最近はパンの種類を増やしたり売り方の工夫を始めてますが、飽和状態になってきました)
まとめ
今回はたまたま【高匠】について取り上げましたが、美味しくない訳では無く美味しいです。
しかし、のがみ、にしかわなど他の食パン専門店同様、ちょっと飽きる味だよね、というのが本音であります。
長年パンやスイーツの仕事をしている私が最近の食パンブームについて思う事を書きましたが、ちょっと物足りなく思うので違うタイプの私が好きな食パンを紹介します。
甘くない、いわゆるハードトーストです。
まともな技術あるパン屋さんならどこでも売ってますが、フロイン堂のパンは手ごねで格別に美味しそうですね、厚切りにして、香ばしくなるようにしっかりトーストして頂きたいです。
パンって本当に美味しいって事がわかると思います。