お菓子作りの時に大活躍するクリーム。
甘くて濃厚でくちどけなめらか、ケーキには欠かせない存在ですよね。
ですが、生クリームとホイップクリームの違いはご存じでしょうか?
スーパーで売っている際、クリームにはいろいろ種類があるけれど違いが分からないからとりあえず安い方を買っているという方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は生クリームとホイップクリームはどのような違いがあるのかについて詳しく調べていきましょう。
生クリームとホイップクリームの違いは?
生クリームとホイップクリームには主に4つの違いがあります。
- 原材料が違う
- 価格が違う
- 賞味期限が違う
- 泡立てたときの特性が違う
では、一つずつ詳しく見ていきましょう。
原材料が違う!
生クリームとホイップの大きな違いは、原材料にあります。
生クリーム:動物性油脂のみ・添加物なども一切入っていない
ホイップクリーム:植物性油脂のみまたは植物性油脂と動物性油脂の両方
生クリームと呼べるのは、動物性油脂のみが原材料であることかつ乳脂肪分が18.0%以上の「種類:クリーム」と表記されている商品だけです。
クリームに添加物が加わったものは「名称:乳等を主要原料とする食品」と表記されるので、生クリームとは別のものとなります。
植物性油脂・動物性油脂とは?
動物性油脂
動物に含まれる脂肪で、身体活動の大きなエネルギー源になります。
肉類、ラード、牛乳や乳製品のほか、ケーキやチョコレート、アイスクリームといったバターや乳脂肪分を使った洋菓子類などにも多く含まれていますよ。
しかし、ラードや牛脂、バターなどの動物性の脂には、LDL-コレステロールを増やす「飽和脂肪酸」が多く含まれています。
調理用の油脂にはできるだけ、動物性の脂は避けてオリーブオイルやゴマ油などの、飽和脂肪酸の少ない植物性の脂を使うと良いでしょう。
植物性油脂
植物の実や種子から採取される油脂を植物油と称しています。
植物油脂の代表的な存在として「サラダ油」や「なたね油」「パーム油」などがありますね。
ところで、植物油は体に悪いという話を聞いたことがありませんか?
植物油脂には「植物油を原料とする加工品」商品が多く、これが体に悪いといわれてしまう原因なのです。
ここでの加工品というのはマーガリンや、ショートニング、ファーストスプレッドなどが挙げられます。
これらには「トランス脂肪酸」が含まれています。
トランス脂肪酸とは、「不飽和脂肪酸」の一種で日常的に摂取しすぎると、心臓病のリスクが高まるという研究結果があるんですよ。
そのため、「マーガリンなどの植物油加工品は体に悪い」といわれるようになったのです。
マーガリンやショートニングなどの原料である植物油は、常温では液体で、それを固形にするために油に水素を添加するのですが、その過程でトランス脂肪酸が発生してしまします。
最近では、マーガリンなどのパッケージに「部分水素添加油脂不使用」「トランス脂肪酸低減」といった表示もあるのでチェックしてみると良いですね。
価格が違う
純粋な乳脂肪だけを使った生クリームのほうがコストがかかるので、値段もその分高くなりますね。
生クリームは、大体200mlが300円前後で売られていることが多いですよ。
また、乳脂肪分35%のクリームは300~350円・乳脂肪46%の生クリームは350~400円
と、乳脂肪分が高くなるほど値段も高くなります。
それに対して、ホイップクリームは200mlが150円前後で売られていることが多いですよ。
ホイップクリームにも脂肪分が低くなるほど安くなる傾向がありますので、「低脂肪ホイップ」は100円程度で売られていることもあります。
生クリームとホイップクリームは倍近く値段が違うんだね。
よりおいしいものを選ぼうとすれば値段もより高くなるね。
賞味期限に違いがある
賞味期限は生クリームのほうが圧倒的に短くなっています。
生クリームの賞味期限は、未開封の状態で10日程度です。
牛乳と同じ乳製品なので、買ったらすぐに使用しないといけませんね。
それに対して、ホイップクリームは未開封の状態だと1か月程度の賞味期限があるため長期間保存しやすくなっています。
ただ、ホイップクリームであっても開封したら速やかに使い切りましょうね。
泡立てるときの特性に違いがある
生クリームやホイップクリームを泡だて器やハンドミキサーなどで泡立てた際、出来上がり過程や出来上がり後の特性に違いがあらわれます。
生クリームとホイップクリームの特性を比べてみましょう。
生クリーム
- 短時間で泡立てることができる
- 泡立てたクリームはふわふわの食感
- くちどけなめらかで、口の中からあっという間に消えてしまう
- ミルクのコクと香りが際立つ
- ホイップクリームに比べるとうっすらと黄みを帯びている
ホイップクリーム
- 生クリームよりも泡立てるのに時間がかかる
- クリームの手ごたえはやや硬め
- 泡立てた後放置していても硬さを保つ
- 生クリームよりも扱いやすい
- 食感は、生クリームと比べると密度が高くもったりとしている
- 生クリームよりもあっさりとした味わい
- 泡立てたホイップクリームの色は白一色
- 生クリームよりも形を保ちやすい傾向がある
扱いやすいのはホイップのほうですが、より高級感のある味わいを楽しむのであれば生クリームのほうが良いようですね。
そもそもクリームって何?
上記で生クリームとホイップクリームの違いについてお話してきましたが、そもそもクリームとはどのように作られているのか、どんなものなのかについても詳しく知っておきましょう。
クリームとは、脂肪とタンパク質が濃縮した、白色や薄黄色な濃厚な液体のことを指します。
原則として牛乳成分に由来する商品であることが定義づけられていますよ。
生クリームについてもっと詳しく知ろう!
生クリームの定義
乳脂肪分が18.0以上のもののみ「生クリーム」と認められています。
(厚生労働省「乳および乳製品の成分規格等に関する省令」より)
生クリームの原料は牛乳でしたね。
牛乳を遠心分離器にかけた時にできる遠心分離器にかけると脂肪分の多い液体と、脂肪分の少ない脱脂乳の2層に分けられます。
この乳脂肪分の多い液体が「生クリーム」として知られているんですよ。
生クリームにはホイップ用のものとコーヒー用のものの2種類があります。
ホイップ用は、脂肪分が30~48%・コーヒー用は、脂肪分が18~30%です。
脂肪分が多いほど泡立ちやすい性質を持っているので、ホイップ用の生クリームはコーヒー用と比べて脂肪分が多くなっています。
また、ホイップ用として市販されている商品には35%・40%などの数字がかかれているものもありますが、これは脂肪分が何パーセント入っているかを示しているんですよ。
ホイップクリームについてもっと詳しく知ろう!
ホイップとは、生クリームの一部、またはすべてがヤシ油・パーム油・なたね油などの植物性油脂に置き換わっていたり、添加物が入っていたりするクリームのことを指します。
脂肪分が18%未満であったり、添加物が入っていたりすると上記に示した省令によって「生クリーム」とは認められませんね。
ホイップは、動物性脂肪や植物性脂肪の割合・添加物の有無によって大きく3種類に分けられるんですよ。
- 動物性脂肪+添加物…純乳脂肪タイプ
- 動物性脂肪+植物性脂肪+添加物…コンパウンドタイプ
- 植物性脂肪+添加物…植物性脂肪タイプ
ホイップクリームは、乳脂肪分や植物性脂肪に乳化剤、安定剤などの添加物を加えて生クリームに似せて作られたものなので、生クリームの代替品といえますね。
生クリームとホイップクリームどちらが良い?
ホイップクリームはあくまでも生クリームの代替品なので、身体によい・よりクオリティの高い味を求めるのであれば生クリームをおすすめします。
時々、レシピなどに「生クリーム150ml」などと表記がありますが、これは「生クリームじゃないとダメな料理」というわけではありませんよ。
しかし、ホイップクリームは分離してしまうこともありますので、ホイップと書いてあるレシピで生クリームを使うのは大丈夫なのですが、生クリームと書いてあるレシピでは生クリームを使った方が良いとの意見がネット上で多く見られます。
健康面で良い方は?
ホイップクリームには安定剤・乳化剤などの添加物が入っていませんので、健康面を考えるのであれば生クリームを使った方が断然良いですね。
ただし、添加物が入っていない分賞味期限が近いというデメリットがありますよ。
スイーツ作りに向いているのは?
まず、生クリームとホイップクリームの違いをもう一度おさらいしましょう。
生クリーム | ホイップクリーム | |
原材料 | 乳脂肪のみ(18%以上) | 乳脂肪や、植物性脂肪、食品添加物 |
賞味期限 | 1週間~10日 | 1か月前後 |
扱いやすさ | ゆるくなりやすい | ゆるくなりにくい |
味・風味 | ミルクの味が濃厚 | 軽くてさっぱりとしている |
扱いやすいのはホイップクリーム、風味が良いのは生クリームとスイーツを作る際のメリットデメリットはそれぞれ違うので、使用用途に合った方を選べば良いですね。
まとめ
- 生クリームとホイップクリームの違いは、原材料・価格・賞味期限・泡立てた時の特性に違いがみられる
- 生クリームは動物性脂肪のみで作られているので添加物は一切入っていない
- ホイップクリームは植物性油脂や、添加物が使われている
- 生クリームのほうが価格が高く、賞味期限は短い
- ホイップクリームのほうが泡立てた後に形が保たれやすく、扱いやすい
- ホイップクリームは生クリームの代替品として使われている
- 品質が高いのは生クリームだが、使用用途に合った方を選べばよい
生クリームとホイップクリームの違いは分かりましたか?
今まであまり気にしていなかった方も、スーパーでクリームを買う機会があったらぜひ気にしてみてくださいね。
クリームにこだわればもっとスイーツ作りが楽しくなりますよ!