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ブーランジェリーとベーカリーの違いとは?はっ?どっちもパン屋ですが日本とフランスの違いに思う事

筆者は30年近くパンやお菓子の仕事に携わっていますが、日本の世間がパン屋さんのことをブーランジェリーとか言い出したのは20年前くらいでしょうか?

フランスではパン屋さんの事をブーランジェリーと呼び、英語では誰もが知ってるベーカリーと言います。

ブーランジェリー?ベーカリー?

どちらもパン屋さんで間違いないです

使い古されたベーカリーより、ブーランジェリーの方がおしゃれな感じがするという事でしょう。

別にフランス風でなくてもブーランジェリーを名乗るパン屋さんが沢山増えたと思います。

答えが出てしまったと思いますが、それは日本国内の話で、フランスという国においてはベーカリーという物は存在せず、ちょっと事情が違うようです。

特に何の資格を必要としない(保健所の営業許可は必要)日本のブーランジェリー、ベーカリーと違い、フランスではブーランジェリーと名乗るにはいくつか条件が定められており、自国の食文化の継承という点で日本の考え方とは大きな隔たりをかんじますね。

フランスではブーランジェリーとパティスリーが併設されている事が多いですね:Diabolo menthe *パリ便り*

その点は以下で述べるとして、日本は欧米コンプレックスよろしく節操なく異文化を受け入れ利用していますが、魔改造というなんでも国内向けに昇華させる技術と文化を持っているのです。

決してフランスの食文化の方が素晴らしいということではありません。

前置きが長くなりましたが、その点を踏まえ、ブーランジェリーとベーカリーの違いとは?日仏対比して考察してみたいと思います。

ブーランジェリー、ベーカリーの違いとは?

前述のとおりブーランジェリーとはフランス風のパン屋さんのことですが、本場フランスのブーランジェリーの特徴を見てみましょう。

フランスのブーランジェリーとは?

フランスではブーランジェリーを名乗ることが出来る条件として、法律で定められております。

店内で粉からパンを製造(捏合、発酵、成型、焼成)、販売し、冷凍生地を使用していないことが決められています。

これは全てのパンが粉から製造(フルスクラッチ)する事が条件となり、他の場所で製造された物や一部の商品に冷凍生地を使用する事はブーランジェリーの規定から外れてしまいます。

もちろん、他商品や冷凍生地を販売する事は可能ですがブーランジェリーを名乗る事は出来ません。

画像:Tripadvisor

フランスは食文化の伝統、継承において保守、保護されており、日本という異国で何でもありのパン屋が勝手にブーランジェリーを名乗りまくっている事に違和感を感じてしまいます。

ちなみにブーランジェリーに相当する言葉をドイツ語でベッカライ(Bäckerei)と言います。

完全に余談ですが、かつて私はBäcker fujiwaraという店名でパン屋さんを経営しておりましたが、何故ベッカライの名称を付けないのか?間違っているのでは?と、物知り顔のお客によく問われたものでした。

Bäckerはドイツ語でパン職人であり、Bäckereiというドイツの伝統的なパン屋の名称を付ける事に抵抗があったからですが、日本のパン屋でありながらBäckereiという名前を冠したパン屋が多い中で、日本の上辺ばかり拝借する国民性の中では理解され難いことだったと感じました。(店名でも"パン職人フジワラ"ならよかったのでしょうか?)

日本のブーランジェリーとは?

何度も述べている通りパン屋さんです。

日本のブーランジェリー:仙台経済新聞

ブーランジェリーを名乗るのに何の規定も資格も必要ありませんが、フランス風の店舗、アイテムを扱っているパン屋さんが多い傾向にあります。

個人経営のパン屋さんにブーランジェリーの名称を用いている場合が多く、そういう意味では意識の高いパン屋である可能性が高いです。

ベーカリーとは?

もはやベーカリーについて述べる必要を感じませんが、こちらも何も規定や条件を必要としないパン屋さんです。

アメリカのベーカリー:Tripadvisor

最初に欧米の文化がアメリカの影響が強かった事がベーカリーが定着した理由と考えられます。

日本でのブーランジェリーとベーカリーの違い、前者は今風で後者は昔風のパン屋さんというくらいしか違いは見当たりません。

まとめ

ブーランジェリー、ベーカリーの違いとは?

日本国内におけるパン屋さんを示す言葉の違いです。

今回の記事は本題に逸れて日本の国内事情に批判的な内容ですが、ついでにもう1つ。

フランスでは経営権というものが存在し、自己資金さえあれば好きな場所で(一部を除き)好きな業種、パン屋ケーキ屋飲食店を開業出来る日本のような参入しやすさという物がありません。

パン屋がある場所ではオーナーが代わってもずっとパン屋である必要があり、経営権を得るにも非常に高額な資金を必要としますので参入障壁がとても高いと言えます。(日本のように個人経営が乱立するという事を防ぐ意味があります)

自由競争は同業他社に負けないよう物のレベルを向上させますが、行き過ぎた競争は従事者の低賃金、過重労働を強いる事につながり、有名なパン屋さんケーキ屋さんであっても非常に低賃金で働く事が現状です。(パティスリー、エスコヤマの賃金未払い事件も記憶に新しいと思います)

ありきたりな経営コンサルタントが机上の空論で効率化を図ってどうにかしろというのは無責任で簡単ですが、もういい加減に国による行き過ぎた自由競争の範囲を絞る必要性をブーランジェリーとベーカリー、日仏の違いを考察する事で感じるのです。

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藤原 敏夫

1974年生まれ。ポール・ボキューズ、ノブTOKYOで製菓製パン、ペストリーを学び、日本人唯一MOF取得者の美ノ谷靖夫氏に師事。独立してベッカーフジワラを15年経営して廃業。現在はブーランジェリー職人として勤務しながら、経験を活かした記事を執筆中。

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